Project Story

夏のスーツに新しい価値を生む

2020年07月
  • 所 祐介

    企画・仕入れ
    入社15年目の37歳。営業の部屋にいるが、企画や仕入れなどもオールマイティにこなす数少ない人物。西川毛織の良さは「社長のすばらしさ」と考えている。土日はDIYを楽しむ、二児のパパ。
  • 平野 順也

    営業
    入社22年目の43歳。入社以来22年、一貫して営業に従事。モットーは「消費者目線を大事にすること」。プライベートは、もっぱらゴルフにハマっている。目標は100を切ること。

「着ている方が涼しい。」、
スーツの新しい価値を生んだプロジェクトストーリー

「夏はスーツを着ない」「夏のスーツは暑い」、
そんなイメージを払拭したい。


所祐介:「ファッションのカジュアル化、在宅勤務など勤務形態の多様性が生まれる中、スーツ=暑いとのイメージを払拭し、軽くて涼しい生地をずっと作りたいって思っていて。」

平野順也:「確か2014年くらいだったかな。その思いに共感して、できあがったばかりの生地サンプルを片手に、お客様のところに提案しに行ったのを思いだすよ。一言目が、『透けすぎ』だった。(笑)」
所祐介:「(笑)今でこそ、シャツが透けるスーツも市民権を得ていますが、当時はまだ斬新でしたよね。」

平野順也:「一方で生地が軽いという点はかなり評価してもらっていたから、お客様には『とにかく、製品を作ってみませんか?』と伝えて。この業界では特に苦戦している夏物だからこそ、新しいことをどんどんやっていかないと、と。」

所祐介:「実際に製品にしてみると、お客様の反応が意外に良かったんですよね。」

平野順也:「軽いだけじゃなく、破れない強度をきちんと担保していたし。」
所祐介:「着用してみても、恥ずかしいほどの『透け』ではなくて、そもそも最初から『このスーツはこういうもんです!』とコミュニケーションすれば、実は気にならない人が多いんじゃないかという目論見もありました。
スーツが暑くて困る、でも仕事上で着用が義務付けられている人に選択肢を与たかったんです。」

平野順也:「今日のスーツは、まさにその時の産物だよ。本当にこの生地は軽くて、涼しいな。」
所祐介:「着ている感がない、というか。この軽さと涼しさは、夏の暑さに悩まされるこの日本でもっと評価されてもいいと思ってます。」

平野順也:「確かに今でこそ、薄い生地で下のシャツが透けていることもそれほど珍しいことじゃない。我々が新しいスタンダードを生み出したといっても過言ではないよ、きっと。」
市場に驚きを持って受け入れられた、
新しいスーツのあり方


平野順也:「陳列した商品を触れられた来店客の反応をお客様から聞いたときはうれしかったな。試着されると、『確かに涼しい』と。」

所祐介:「究極は『着た方が涼しい』ですから。
商品開発のヒントは、アラビア半島の国々の民族衣装である、アバヤとカンドゥーラ。強い直射日光を避けたり、高い気温をどうにかコントロールするために彼らが身に着ける伝統衣装をヒントにしました。」
平野順也:「この数年で、たくさんのお客様から支持される商品に育ったね。柱とまではいかないけど、間違いなく新しいカテゴリーとして確立できたと思ってる。自信と実績を持って売りに行ける商品だよ、もはや。」

所祐介:「企画者冥利につきます!アメリカの市場も開拓できたのは大きかったですよ。」

平野順也:「かなり大口の発注だったからなあ。しかも、ますますスーツ離れが加速していく中で、いまだに売れ続けているのはすごいと思う。」
所祐介:「この生地で作ったスーツを着ている人を見ると、いまだにうれしいです。少しでも、スーツの価値観を変えられたのかもしれない、と。」

平野順也:「それこそが西川毛織の仕事の醍醐味と言えるかもしれないね。」

所祐介:「この企画で社内MVP賞はとれなかったですけど(笑)」
平野順也:「ちょっとした賞はもらったけどな(笑)結果として所くんの場合は、年齢的には37歳で社内の重要な立場・中核になったわけで。」

所祐介:「次はMVP賞目指しましょう!」
ウールの価値を、
もっと広げる・もっと高める。


平野順也:「メンズのビジネス市場のカジュアル化、テレワーク、着る機会の減少をどうやって打破するかが次の課題だね。」

所祐介:「ウールは天然繊維。ポリエステルがどれだけ進化しても、ウールは負けないと思っているんです。皮膚の一部、呼吸する糸、それがウール。スポーツとか、他の分野でまだまだ伸びていく可能性があります。やらなきゃいけないこと、ばかりですね!」